心の病で休職したけど、外に出られるくらい回復してきた。遊びに行ったり、旅行したりするのは、やってはいけないことなのかな?
休職中の社員が、自宅外で遊んでいるという情報が入った。
遊びまくるくらい元気なら、復職するべきでは??サボりのように感じる。
このように思っている方に向けて、記事を書きました。
こんにちは。産業カウンセラーのゲッティと申します。
私は新卒で入社した大企業でパワハラを受け、適応障害になり約1年間休職していました。
休職中は、「家で大人しくしていなければならない」と思いやすいのですが、私は完全回復した場合を除き、元気なときは積極的に遊ぶことをおすすめします。
なぜなら私自身、休職中は遊んで過ごし、どん底だったメンタルが回復したからです。
しかし会社側からは「自由に行動できるなら、働いてほしい」と思われ、なかなか適応障害という病気を理解してもらえませんでした。
この記事では、私がどのように遊んでいたかに加え、休職時の具体的な症状や会社側の対応についてまとめています。
休職している方だけではなく、会社の人事を担当している方にもぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
私の症状と遊んでいい理由
私が発症したのは適応障害。うつ病の一歩手前の病と言われています。
特定の場所を訪れた際や、関連する映像や文字を目にすると、うつ病と同じような症状が現れる病気です。
私は保険会社に勤めており、当時所属していた子会社で女性上司からパワハラを受けました。
出勤するときは職場の入り口で動けなくなったり、仕事の前日は翌朝を迎える恐怖で眠れなかったりと、心や体はボロボロ…。
休職したときの様子は、こちらの記事にまとめています。
休職してからも、仕事のことを考えているときや保険会社のCMを目にした際に、頭痛と腹痛に悩まされました。
休職してしまったことで、これまで積み上げてきた自分の価値が、ガラガラと崩れ落ちるような感覚に陥り、
もう、会社で働く自信が無い…
このように考えていました。
しかし、仕事のことを考えていないときは、健康な状態なんです。
これが適応障害の恐ろしいところで、治ったかも…?と思って復職のことを考えると、また同じような症状が現れました。
そんなとき、通院していた心療内科の先生から、こんな言葉をもらったのです。
元気なときは、外へ出て遊んでもいいですよ。
家の中でじっとしていると、視野が狭くなります。
それまでは家の中で過ごすのがほとんどでしたが、それをきっかけに、外出する頻度を増やしてみました。
友達と会ったり新しい場所を訪れたりしていると、忘れかけていた「楽しい」という感情が蘇りました。
なんだか、悩みがどうでもよくなってきたかも…
メンタルがぶれにくくなり、仕事のことを考えても、前より不安な気持ちになることが減ったように思いました。
こちらは休職生活に慣れてきたころ、Twitterでつぶやいた内容です。
「休職中=家の中でじっとしているのが正しい」ということは無いと思います。
家の中で過ごし続けるデメリットはこのようなものです。
・電車などの人ごみが怖くなる
・やることが無く仕事のことを思い出しやすい
・身だしなみを気にしなくなる
これでは、いざ復職しようとしてもうまくいきません。治療のひとつだと思って、積極的に外へ出ましょう。
外で遊ぶうえで大切なこと
外で遊ぶうえで、いくつか注意していたことがありました。
心や体へ負担のかからない範囲で遊ぶ
私は休職中、田舎にある親戚の家へ訪れたのですが、初めての場所や食べ物に触れて、久しぶりにはしゃいでしまいました。
半日ほど思いきり遊んだ結果、頭痛や吐き気に襲われて、その後は半日寝込んでしまったのです。
健康だったときに比べて、想像以上に体力が低下していたようです…
いくら元気になっても、心の病になる前と同じような感覚で遊んでしまうと、すごく疲れます。かえって病気の完治が遅くなってしまう場合もあるので、「ちょっと疲れたかも」と思ったら休みましょう。
目立ちすぎないように注意
たっぷり遊んで休職を楽しむのはいいのですが、会社側に誤解を与えるような、目立つ行動は控えたほうが良いでしょう。
例えば、旅行の写真をSNSにたくさんアップするとか、会社の人間も訪れそうな場所で頻繁に遊びまくるとか…
「休職中に遊んで過ごす」ということは、普通の健常者にはなかなか理解できないことです。
もし会社の人事の方が、うつ状態の方と何度も面談しているなら、理解してもらえるかもしれません。しかし僕の勤めていた大企業でさえ、分かってもらうのに苦労しました。
心療内科への通院
遊ぶうえで欠かせないことは、心療内科への通院です。
これを怠ってしまうと、当たり前ですが、治ったのか治っていないのか分かりません。
私は多いときは月に4回、少なくても2回くらい通っていました。
心療内科の先生には、復職するならどのような部署がよいか、いつごろ復職できそうかなど、たくさんのアドバイスをいただきました。
心療内科で適応障害と診断されたときの様子を、こちらに詳しく書いています。
会社への定期的な連絡
会社へ自分の症状を理解してもらうためにも、定期的にコミュニケーションをとるのが大切です。
まったく連絡をせず過ごしていると、万が一遊んでいる姿を見かけられた際に、「元気なのになぜ…」という誤解を招くかもしれません。
また、会社へ復職する際の希望を伝えることも重要。
ちなみに私の希望は、「地方の忙しくない部署への復職」でした。これは、心療内科の先生と相談を重ねて決めたことです。
適応障害の私には、休職直前に勤務していた子会社と、まったく関係のない場所への復職が必要です。
私は関東で働いていましたが、関東は激務の部署が多いうえに、私のことを知っている人が多かったのです。
なるべく私のことを知らない人が多い場所や、関東から離れた環境で働けば、適応障害を克服できると思いました。
私の会社への連絡手段は、手紙と電話でした。
私のように傷病扱いで休職している場合、毎月会社宛てに診断書を提出するのが一般的です。
私は診断書に、自分の症状と要望を書いた手紙を必ず添えて送付していました。そして、月に1度は上司に電話をし、コミュニケーションをとりました。
会社への詳しい連絡方法は、以下を参考にしてください。
私の遊び方
田舎への旅行
親戚の家が山形にあり、休職していることを話したら、
都会で休んでいても、落ち着かないのでは?
こっちに来て、自然の中でゆっくり過ごしてみるのはどう?
このように声をかけてもらいました。
私は、生まれも育ちも仕事も都会です。家から出て少し歩くと、ビル群が立ち並んでおり、忙しそうに歩き回るビジネスマンでいっぱいでした。
確かに、なんだか落ち着かないかも…
こう思った私は、休職中、複数回に渡って山形を訪れました。長いときは10日間くらい滞在。山形に行くのは初めてだったので、旅行のようなかんじでしたね。
親戚が農家なので、さくらんぼや野菜の収穫を手伝ったり…
山の上にある畑でぼーっとしたり…
蔵王山のリフトに乗ったり…
自然に囲まれた静かな環境で、おいしい空気をいっぱい吸って、すごくリラックスできました。
山形は、温泉やラーメン、そば屋さんが多く、本当にいいところです。
都会に住んでいる方は、自然の多い場所へ訪れることをおすすめします。
美しい虫の音や土のにおい、視界いっぱいに広がる山に癒され、気分が穏やかになりました。
友人と食事&飲み
休職中はどうしても人と接触する機会が減り、最初のうちは平気でも、少しずつ寂しさがつのります。
私は気心の知れた友人や同期に声をかけ、定期的に会って話しました。仕事のことだけではなく、たわいもない日常会話を楽しみました。
パワハラを受けていたときは、自分の発言を怒鳴り声で否定され続けていました。
そのため私は「人と話すこと」でさえ、自信を失いつつあったので、友人や同期と話すことは良いリハビリになったと思います。
宝塚の舞台を鑑賞
親戚に誘われて、一度だけ宝塚歌劇団の舞台を観にいきました。
劇場を訪れると、お客さんは女性ばかり。独特の雰囲気に圧倒されました(笑)
でも、ライブと違ってみんな着席したまま静かに鑑賞するスタイル。思ったほど疲れず、演目に集中できました。
迫力のある演技やダンスに、煌びやかな衣装、美しい生演奏に感動!約3時間、確実に仕事のことなんて忘れて、見入っていました。
映画や演奏会、舞台など、静かにゆっくり鑑賞するものは心や体の負担が少ないと思うので、ぜひ行ってみてください。
散歩やスポーツ
休職前に比べ、あきらかに運動する時間が激減。
健康的に良くないし、体を動かさないとなんだか気分が悪かったので、定期的に散歩やスポーツをしていました。
家の周辺を朝散歩したり、月に数回テニススクールに通ったりしました。
テニスは学生時代ずっと続けていましたが、社会人になってから時間が作れずにいたので、久しぶりに思いきり取り組めて楽しかったです。
汗を流す運動を行なうと、すっきりします。
家でじっとしていると、体力が落ちて疲れやすくなるので、適度な運動は大切ですね。
会社側は「適応障害」について知ってほしい
私は「地方の部署へ復職したい」という思いがありましたが、なかなか会社側に私の希望は伝わりませんでした。
会社の希望はこんなかんじで、私とは真逆です。
総合職のゲッティ君には、これから先もっと成長してもらう必要がある。
そのために大切なのは、これまでに経験のない本社勤務だ!
彼が休職するきっかけになった子会社とは、違う部署だから、復職に問題ないはず!
関東の支社ならまだしも、本社はさらに忙しい場所で、社会人としての自信を失っていた私には、考えるだけで気持ちが悪くなるほどの拒絶感がありました。
また、私は心療内科に通っていましたが、薬の処方は無く、カウンセリングのみの治療でした。それに対して、
薬の処方が無いのに、それは治療を受けていると言えるのか?
元気な状態なら、復職するべきでは?
ということを言われ、ショックを受けました。
心療内科の先生が、上司に直接私の症状を説明してくれたおかげで、なんとか適応障害について理解してもらい、希望に近い部署への異動が叶いました。
心療内科の先生+私+上司とで行なった面談内容は、こちらの記事にまとめています。
適応障害は、とてもデリケートな病です。遊べる=働けるという訳ではありません。また、症状は人それぞれ違います。
会社側の方で、「休職者の説明だけでは、理解できない」という場合は、私のように心療内科の先生に直接症状を聞くというのも方法のひとつです。
まとめ:気持ちよく休もう
以上、私の症状や会社側の対応について体験談をまとめました。少しでも参考になりましたでしょうか?
休職中は、会社にしっかり自分の要望を伝えたうえで、堂々と過ごすことが大切です。
「楽しい!」「嬉しい!」「キレイ!」など、明るい感情になれるよう、気分が乗ったときは遊びに出かけましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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